リースを活用した相続・事業承継対策

2015/2/9


株式会社立地評価研究所 大阪本社 大村 聡

今回は、不動産に関連する相続対策のうち、セール&リースバックを活用した相続・事業承継対策をご紹介します。

セール&リースバックとは?

買受支援者(リース会社等)へ所有不動産を売却して、その不動産をリース物件として賃借するリース方式のことをセール&リースバックという。売却と同時にリース契約(不動産賃貸借契約)を締結することから、不動産を従来通り継続利用することが可能である。また、買戻し優先権の設定により、リース終了後に買戻しをすることも可能である。

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リース活用のメリット

①物件の売却による資金の確保

物件売却によりまとまった資金を確保することができ、相続税の納税資金とすることや、借入金の返済に充当することでバランスシートをスリム化することも可能である。

②相続人への適正な資産配分

不動産を複数の相続人にて相続する場合、共有することとなるが、資産の管理・処分等にあたって共有者間で争うケースが多い。売却により現金化することで、相続財産を公平に配分することができ、相続人間でのトラブルを回避することができる。

③物件の所有に伴う管理事務の軽減

リース料の支払いのみで、固定資産税の納付や保険料の支払い、減価償却費の計算等の物件管理事務が軽減される。また、リース料も一定額であり、コストが平準化される。

リース活用における留意点

不動産について様々な相続対策があるものの、上記リースの活用はあまり浸透していない相続対策である。個人(給与所得者)はリース会社との接点がほとんどなく、リースの仕組みに対する知識も少ないことから、身構えてしまう方も多いと思われる。確かに、リース料を安定的に支払える収入があること、買戻し特約をつけることで売却価額が時価よりも低額となる可能性があること等、リース活用にあたって留意すべき点は多い。この場合、不動産鑑定士による鑑定評価を活用することで、売却価額および支払リース料の適正性を判定することが可能である。

セール&リースバックを活用するにあたっては効果(メリット・デメリット)を十分に検討して、利用の是非を判断することが重要であり、当社グループでは、税務・不動産の両面から皆様をサポートいたします。