事業収支から求める収益価格について

2004/11/1


不動産鑑定士 今西完治

賃貸以外の事業の用に供する不動産の収益還元についての問題点の整理
収益還元法は、従来、賃貸用不動産に対して適用するか、そうでない場合は、賃貸を想定して行うのが一般的であった。しかしながら近年、①鑑定評価全般に収益価格がより重視されるようになってきたこと、②企業の経営破綻や再生に関連し企業用不動産の評価を行う機会が増えたこと、等により、賃貸以外の事業の用に供する不動産の収益価格を求める機会が増えてきている。このため、企業評価に用いる収益還元の手法と、賃貸以外の事業の用に供する不動産を評価する際の収益還元の手法との整合性も問題になると考えられる。そこで本稿では、賃貸以外の事業の用に供する不動産の収益還元について、「不動産鑑定基準」の記述を概観し、企業評価に用いる収益還元法との対比も加えつつ、その問題点を整理してみることとした。

index
0.はじめに
1.不動産鑑定評価基準に示された方法
2.事業収支に基づく収益還元の例
3.企業評価における収益還元法
4.おわりに

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