サ高住のゆくえ(その2)

2013/10/15


株式会社立地評価研究所 大阪本社 芳賀 美紀子

サ高住の業界団体である一般財団法人サービス付高齢者向け住宅協会によれば、サ高住の事業者全体の68%が1物件のみの登録で「地主の有活案件」が多いのではないかと推察されます。
ちなみにトップ5位の事業者は以下の通りです。

1. ㈱メッセージ(74棟)
2. 特定非営利法人ラ・シャリテ(69棟)
3. フジ・アメニティサービス(67棟)
4. 株式会社ヴァティ(53棟)
5. 株式会社学研ココファン(42棟)

居住系の介護事業者であるメッセージやフジ住宅グループのフジアメニティをはじめ、在宅系であるヴァティがトップグループに入っています。学研ココファンは名前が示す通り教育雑誌の学研をルーツにもつ企業で、所有物件の流動化にも積極的に取り組んでいます。2位のラ・シャリテはHPによると「ラ・シャリテは東北・北海道各地で高齢者専用賃貸住宅『シニアパンション』を運営、生活保護受給者など、所得が低く、住居に不便を感じている高齢者の方々に対して、清潔なバリアフリーの住居を提供する事業を行い、心身ともに健康を維持、回復していただくことを支援しています」と記載されており、青森県を中心に低価格帯で事業を展開している事業者のようです。

実際に、サ高住で好調な稼働率を維持しているのは低価格帯の施設となっています。それは高齢者が受け取った年金額の範囲でサ高住に入居することを希望しているからです。手持ちの金融資産や自宅を処分してまで高齢者施設を利用しようと積極的に考えていないのが現状であれば、ある意味当然のことだと言えます。但し、受療率の高い高齢者が入居する施設ですから「透析施設+サ高住」等、慢性疾患の診療科と組むなど特徴があれば中価格帯での需要も増加が見込まれるのではないかと思います。