民事再生 - 不況下の定着

2003/11/1


法政大学法科大学院教授・弁護士 佐藤彰一

民事再生の評価に生じる変化。民事再生手続きの様子を俯瞰
倒産事件が激増している。出口の見えない経済不況の中、個人も企業も疲弊を強めている結果である。こうした中で、東京地裁でみせている傾向は、スケジュール管理の強化であり、弁護士依存の高まりである。申し立て代理人と監督委員・管財人の弁護士のやりとりがスケジュール通りに進行しているか否かを、見守っているのが裁判所の役割といった観がある。この傾向は今後も続くであろうし、全国に広がるであろう。そうした全体傾向の中で民事再生法はその施行から2年を経過し、名実ともに再建型倒産処理法の基本法たる地位を獲得したと言われている。ところで、民事再生は、その評価にも微妙な変化が見られる。本稿では、そうした最近の変化に注意を払いながら、民事再生手続きの様子を垣間みることにしたい。

index
民事再生の選択
(1)意義
(2)利用対象者
(3)手続きの開始
(4)会社法制とのすみわけ
(5) 共同再生
手続きについて
(1)手続機関
(2)否認権・保全処分
(3)手続利用は容易になったが、再生を請け負うものではない
債権者について
(1)再生債権
(2)担保権の取扱い
(3)担保権消滅請求
再生計画ほか
(1)再生計画
(2)手続の終結と再生計画の履行確保
(3)役員に対する責任追及

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