ポートフォリオ理論による割引率算定

2000/11/1


株式会社立地評価研究所
不動産鑑定士 若崎周

主流となる金融理論。ポートフォリオ理論を導入した割引率算定法
不動産の流動化が証券化手法を中心として急速に進展しているため、不動産鑑定の分野は金融サイドの影響を急速に受けざるを得ない状況にある。米国では80年代に年金基金REITへの投資を開始した時期以降、不動産分野において伝統的な不動産アナリストの地位が急速に低下し、金融アナリストがこれにとってかわったといわれている。現在の日本の不動産評価分野においてもこれと同じ動きがみられているといってよい。収益用不動産の評価を行うにあたって、純収益を現在価値に変換するための割引率の算定は、伝統的な鑑定理論の中では明確な説明が難しい代表的なテーマであった。本稿はこの点について、現代ポートフォリオ理論の基礎的な考え方に則って、不動産割引率算定についての方法論を紹介したものである。

index
はじめに
これまでの割引率算定の考え方
ポートフォリオ理論による割引率の求め方
3.1 ポートフォリオ理論導入の背景
3.2 資本資産評価モデル(CAPM)の概要
3.3 分散・共分散法による割引率算定モデル
ポートフォリオ理論からのアプローチがなされなかった理由
不動産割引率算定における分散・共分散法の適用
分散・共分散法による割引率算定の結果
まとめ

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