1999.11.01
不動産鑑定
レポート
鑑定評価の反省と当面の課題
株式会社立地評価研究所 大阪本社
不動産鑑定士 大西靖生
種類別の市場分析や投資相談、コンサルティング等のニーズに即応できるか
不動産評価の方法には、大別して(1)比較法(2)収益法(3)原価法の3種類がある。これは欧米でもアジア諸国においても共通し、いわゆるグローバルスタンダードなもので評価に携わる人々―専門職業人としての不動産鑑定士(AppraiserやValuer)のほかに中央政府や自治体関係で資産税評価等に携わる人達(Assesor)―は、その国の辿った歴史や今日の経済情勢・不動産市場のあり方などを踏まえながら各々に適した評価手法を組合わせて不動産の評価を行ってきた。
しかし最近、わが国では「評価は収益法に拠るべき」で「キャッシュフロー経営に即し、その現在価値を把握するDCF法が最適」という声が強くなっている。小稿は、不動産評価の方法は各々の国や時期ごとに不動産市場の実情に基づくべきで、当該国民や企業の土地意識や不動産意識を背景とすべきであること、次にビッグバンの変革時期にあるわが国の鑑定評価の反省と当面の課題について、日頃感じていることを記したものである。
index
0.はじめに
1.市場参加者の意識と評価手法
2.「価格」とは何か
3.鑑定士がすべき反省
4.これからの課題