2015.03.26
レポート
相続・事業承継
株式保有特定会社の相続対策
株式会社立地評価研究所 大阪本社 大村 聡
今回は、株式保有特定会社における相続対策をご紹介します。
株式保有特定会社とは?
株式保有特定会社は、保有資産の大半が株式等である会社をいい、以下の基準にて判定されます。
※平成25年5月の評価通達の改正により、大会社の判定基準が25%から50%に引き上げられた。
株式保有特定会社の相続財産は、原則として純資産価額方式で評価されます。これは、特定の資産(土地や株式)を多く所有する会社については、経営状況が正常な状態にある上場会社と異なるため、類似業種比準方式により株価を算定する合理性が認められないためです。
自社株の評価を下げるために
自社株の評価において、純資産価額方式は、類似業種比準方式よりも株価が高く算定される傾向にあります。しかし、前述のとおり、株式保有特定会社では類似業種比準方式の適用を認められません。そこで、株式の保有割合を引き下げることで、株式保有特定会社に該当しないようにする「株特はずし」が有効となります。具体的には、他の資産(不動産)を購入する、会社分割や事業譲渡等により株式を別会社へ移す等の方法があります。株式の価額が総資産価額の50%を下回るまで不動産を資産に組み入れることで、類似業種比準方式の適用が可能となります。
しかし、不動産の購入は資産構成を大きく変動させることができ、「株特はずし」に非常に有効ですが、相続対策にとらわれ過ぎてしまい、収益性が著しく劣るような不動産を購入してしまっては、節税できた相続税以上の損失を被ることもあります。 また、財産評価基本通達189において、評価前に合理的な理由もなく評価会社の資産構成に変動があり、その変動が「株特はずし」を目的とするものと認められるときは、その変動はなかったものとして判定すると規定されています。株価対策のためでなく、本業の行為であるというたてつけが必要です。相続の場合は、一般的に時期を予期でないため問題となる可能性は低いですが、株特がはずれてすぐに贈与・譲渡をすると目立つため、注意が必要です。
「株特はずし」のための不動産の購入に当たっては、収益性の見極めに精通し、適正な評価額の判断が可能な不動産鑑定士にご相談ください。当社グループでは税理士と連携し、税務上のアドバイスも踏まえながら、有効な節税対策をご支援します。